こんな人は境界線が必要
人間関係にストレスを感じている
人間関係がうまくいかない
人間関係に疲れた
断れないことにストレスを感じる
依存されやすい特徴を持っている
これらの項目に当てはまる人は、人間関係の原則である境界線を知ると肩の力が抜けた穏やかな生活ができるようになります。
それでは、境界線の10の法則について見ていきます。
その前に、大前提となることを確認します。
宇宙の法則
世界は神の原則と法則によって成り立っています。
この法則から逸脱すれば痛い目に遭うのはその本人です。
宇宙の法則を知っていようがいまいが世界は法則の通りに動いているからです。
人間は水中では息ができません。水の中に入って「なんで息ができないんだ」と怒ってもしかたがありません。
私たちはこの世の法則にしたがって生きる他ないのです。
境界線の10の法則は、神が定めた「宇宙の法則」にのっとっています。
それでは、境界線の十の法則を見ていきます。
境界線の10の法則
1.種蒔きと刈り取りの法則 ―言動には必ず結果が伴う
【聖書】
ガラテヤの信徒への手紙 6章7~8節
「人は、自分の蒔いたものを、また刈り取ることになるのです。自分の肉に蒔く者は、肉から滅びを刈り取り、霊に蒔く者は、霊から永遠の命を刈り取ります。」
現実世界の大原則として、「種蒔きと刈り取りの法則(原因と結果の法則)があります。
それは、正しい努力をすれば良い結果がもたらされ、怠けていれば悪い事態を招くというものです。
テストのためにちゃんと勉強すれば良い点数が取れますし、勉強しなければ悪い点を取ることになります。
この世界はだいたいにおいて、善い行いをすれば善い結果が待っており、やるべきことを行わなければ悪い事態が起こるのです。
それが「宇宙の法則」です。
しかし、この法則の外にいる人がいます。本人が蒔いた種の結果を他の誰かが引き受けている場合です。
問題行動を取っていて、全く改善が見られない人は、これに当てはまっています。
問題行動の改善がまったく見られないのは、自分の言動の結果を本人が引き受けていないからです(周りの人が対処している)。そういう人に注意をしてもほとんど意味がありません。問題行動が常態化している時点で、その人は注意など聞かない人であることを示しているからです。
聖書もこのように言っています。
「嘲る者を懲らしめるな、彼に憎まれないために。/知恵ある人を叱れ、彼はあなたを愛するであろう」(箴言9:8)。
こうした問題の解決法は、自分の行動の結果を本人に受け止めさせることなのです。
2.責任の法則 ―自分のことは自分で
【聖書】
ガラテヤの信徒への手紙 6章5節
「おのおのが自分の荷を負うことになるのです。」
コリントの信徒への手紙(Ⅱ)5章10節
「私たちは皆、キリストの裁きの座に出てすべてが明らかにされ、善であれ悪であれ、めいめい体を住みかとしていたときに行った仕業に応じて、報いを受けなければならないからです。」
「自分の荷を負う」すなわち、自分の境界線内のものに責任を持つということです。
また私たちには、「神から与えられた人生をどのように生きたのか」ということが問われることになるのです。
3.力の法則 ―できること、できないことの
【聖書】
ローマの信徒への手紙 12章18節
「できれば、せめてあなたがたは、すべての人と平和に過ごしなさい。」
「できれば」とあり、自分ができる範囲で努めることが言われています。
自分だけではなく他者が関わる事に関しては、自分の力が及ぶ範囲(自分のこと)に努めるのです。自分が「できること」と「できないこと」を見極め、出来ることにエネルギーを費やすのです。
ただし、自分の「在り方」を通して、相手に影響を与えることはできます。
4.尊重の法則 ―大切なのは自分だけではない
【聖書】
マタイによる福音書7章12節
「人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい。」
自分の境界線を重んじて欲しいなら、相手の境界線を尊重しましょう。
5.動機の法則 ―心が伴った言動をする
【聖書】
ヨハネの手紙(Ⅰ)4章18節
「愛には恐れがありません。完全な愛は、恐れを締め出します。恐れには懲らしめが伴い、恐れる者には愛が全うされていないからです。」
「恐れ」からの行動は良い実を結部ことはありません。
恐れによる動機
愛を失うこと、批判、孤独、罪悪感、承認欲求など。
愛とは
「愛(Love)」は本来、動詞なのです。たんに感情のことではなく、愛するという具体的な行為のことです。
相手や隣人のために自分でしようと決めたことを行うのが愛なのです。
6.評価の法則 ―真実を語る
【聖書】
エフェソの信徒への手紙 4章25節
「偽りを捨て、一人一人が隣人に真実を語りなさい。私たちは互いに体の部分だからです。」
相手のことを心から思うなら、「ありのままを評価」し「真実を語る」ことが必要です。その評価に相手は痛みを感じるかもしれません。
しかし、痛みは改善や成長につながります。
痛みは「何かがおかしい」と伝える警告だからです。痛みは不必要なものではないのです。
例えば虫歯になったとします。歯に痛みを感じます。その痛みがあるから、「治療しないといけない」と思い歯医者に行きます。そうやって歯を失う事態を回避することができます。
しかし、もし痛みを感じなかったなら、虫歯は放置されてしまうことになります。そしてある日とつぜん歯を失うことになるのです。
心の痛みも同様です。
痛みは私たちにとって「何かがおかしい」ということを知らせるものなのです。
7.主体性の法則 ―こうしたいと思った通りにする
【聖書】
コリントの信徒への手紙(Ⅱ)9章7節
「各自、いやいやながらでなく、強いられてでもなく、心に決めたとおりにしなさい。喜んで与える人を神は愛してくださるからです。」
他者の人権を侵害せず、反社会的でもなく、主によって授けられた信念・価値観にそって、こうしようと決めた通りに生きていくことを神は喜んでくださるのです。
神は私たちに、「人生の手綱は自分が握る」ように願っておられるのです。
8.妬みの法則 ―与えられたものを感謝する
【聖句】
出エジプト記 20章17節
「隣人の家を欲してはならない。隣人の妻、男女の奴隷、牛とろばなど、隣人のものを一切欲してはならない。」
自分に無いものばかりに目を向けるのではなく、すでに有るものに感謝をすることが大切です。欲望による欠乏感はいやされることが決してないからです。
9.活動の法則 ―自発性
【聖句】
マタイによる福音書 7章7~8節、25章14~30節
「『求めなさい。そうすれば、与えられる。探しなさい。そうすれば、見つかる。叩きなさい。そうすれば、開かれる。誰でも、求める者は受け、探す者は見つけ、叩く者には開かれる。』」
受動的に生きるのではなく、自分から進んで能動的に生きるように言われている。
そしてまた、「神から与えられた自分という賜物を活用しない愚かさ」を主イエスは語っておられます。
10.開示の法則 ―相手に伝える
【聖書】
エフェソの信徒への手紙 5章11、14節
「実りのない闇の業に加わらず、むしろそれを明るみに出しなさい。…明らかにされるものはみな、光だからです。」
境界線は相手に明示する必要があります。人はしばしば、恐れによって境界線を隠してしまいます。
しかし、実際には自分の中には境界線が有るのです。
自分の願いや欲していることが心の中にあるのです。それを相手に伝えずにいれば、相手もあなたの本心がわかりません。そうやって食い違ったまま関係を続けていれば、遅かれ早かれ、必ず行き詰まってしまいます。
自分の価値観や思い考えを伝えることなしに、自分の気持ちを察してもらおうとしても無理な話です。
私たちは自分の「感情、態度、信念、行動、選択、価値観、限度、才能、思い、欲望、愛情」に責任を持たなければなりません。
良好な関係を築くためには、境界線を相手に伝える必要があるのです。
まとめ
この世界は「神の法則」に則って進んでいます。水の中に入れば息はできませんし、りんごは木から落ちます。
同様に、この現実世界においてはたいてい、「善い行いをすれば善い結果があり、悪い行いは悪い結果をもたらし」ます。
この世の原則を踏まえて生きていくことは理にかなっていることです。
幼いうちから現実世界の「法則」を身に着けていれば、そうでない場合よりもスムーズに豊かな暮らしを手にすることができるようになります。
しかし安心してください。
物事に遅すぎるということはありません。
今からでも境界線を学び身につければ、他者との関係が改善され、今より豊かな暮らしができるようになります。
境界線の10の原則を取り入れ、その原則に沿って日々の生活を過ごしていきましょう。